抵当権抹消登記と添付書類の使用期限

皆さん、こんにちは、愛知県名古屋市南区の司法書士・行政書士の加藤芳樹です。

不動産に抵当権を設定していた住宅ローンなどを完済すると金融機関から抵当権抹消登記に関する書類一式が交付されます。抵当権の登記識別情報通知、抵当権設定契約書、登記原因証明情報(解除証書など、以下「解除証書」)、委任状などです。

抵当権抹消登記を何時までに申請しなければならないとする期限はありませんが、資格証明書(代表者事項証明書)を添付する場合には、登記申請時において発行後3か月以内のものを添付しなければなりません (不動産登記令7条1項1号,同規則36条1項2項) 。しかし、資格証明書は、申請書に会社法人等番号を記載することで添付を省略できますので、金融機関の代表者に変更がなければ問題とはなりません。

では、抵当権の抹消登記を申請せずにいる間に金融機関の代表者が、委任状及び解除証書に記載された者から変更されていた場合はどうでしょうか。

この場合には二つの方法があります。一つは、委任状等を発行した金融機関に現在の代表者による委任状等の交付をしてもらう方法、もう一つは代理権不消滅の規定により旧代表者名で作成された委任状及び解除証書を利用して抹消登記を申請する方法です。

代理権不消滅による方法について以下ご説明いたします。

旧代表者の委任状等を使用して抵当権抹消登記を申請する

不動産登記において登記申請の委任に関する代理権は、代表者が交代したとしても消滅しないことになっています(不動産登記法17条4号)。

よって、登記申請をしない間に金融機関の代表者が変更していたとしても、交付された旧代表者の委任状及び解除証書を使用して抵当権の抹消登記を申請することができます。

金融機関から交付される委任状は通常委任日付は空欄となっています。もし、代表者が変更された日以後の日付を記入すると補正の対象となりますので注意が必要です。

申請書(申請情報)は、例えば、委任状記載の委任者がAで登記申請時の代表者がBとした場合は以下の例のとおりに記載します。

 義 務 者 名古屋市〇区〇〇町1番地
        株式会社〇〇〇銀行
       (会社法人等番号1800-01-〇〇〇〇〇)
       代表取締役 B(登記申請時の代表者を記載します。(注)

添付書類欄に、「会社法人等番号」と記載します。

なお、委任状交付時にAが株式会社〇〇〇銀行の代表取締役であったことが会社法人等番号で確認できない場合には、Aが代表取締役であったことが確認できる登記事項証明書の添付が必要となります。

書面申請の場合は申請書の添付書類欄の下部に、オンライン申請の場合にはその他事項欄にAの代表権が消滅した旨を記載します (平成27年10月23日付け法務省民二第512号民事局長通達,『登記研究820号』(テイハン,107頁))。例えば、「登記義務者の代表取締役Aの代表権限は消滅している。代表権限を有していた時期は令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までである。」などと記載します。

(注)当事務所において上記記載で名古屋法務局管内で登記を完了させた実績はありますが、同職のブログを見ると申請書の代表者には旧代表者を記載するとするものなど異なる取扱いをする法務局があるようです。

抵当権抹消登記、相続登記などの不動産登記、株式会社をはじめとする商業・法人登記は当事務所にお任せください。
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