不動産登記における添付書類の省略

皆さん、こんにちは、名古屋市南区の司法書士、加藤芳樹です。

前回のブログ記事では、商業・法人登記申請書の添付書面は、法令により押印又は印鑑証明書の添付が求められていない限り印影は審査されなくなっているということを書きました。

不動産登記手続においても、申請人の負担軽減等のための改正はなされており、その一つが会社法人等番号を提供することにより添付情報(書面)の添付を省略できるようになっていることです。

平成27年11月2日から不動産登記令等の改正により、会社法人等番号を提供することで法人の代表者の資格証明情報(登記事項証明書)などの添付を省略することができるようになり、さらに令和2年3月30日から不動産登記規則等の改正により、会社法人等番号を提供することで印鑑証明書の添付も省略できるようになっています。

改正されてから随分立ちますが、実務上重要ですので、本稿においてその根拠と取扱いを纏めてみることとします。

1.会社法人等番号とは何か

会社などの法人、外国会社、登記された支配人などを識別するための情報で登記簿に記録された12桁の情報です(商業登記法7条,商業登記規則1条の2)。

2.会社法人等番号の提供と添付情報の省略

(1)会社法人等番号の提供と代表者の資格を証する情報の提供

平成27年11月2日から不動産登記令等の改正により申請人が会社法人等番号を有する法人であるときは、申請情報(登記申請書)と併せて会社法人等番号を提供しなければならないとされ(不動産登記令7条1項1号イ)、改正前(旧不動産登記令7条1項1号)に必要とされた代表者の資格を証する情報(登記事項証明書)の提供は、する必要が無くなっています。

申請情報への会社法人等番号の提供は、次のように申請人の名称に続けて記載します(平成27年10月23日付け法務省民二第512号民事局長通達,『登記研究820号』(テイハン,104頁))。


 権 利 者 名古屋市南区〇〇町1番地
        株式会社〇〇〇
       (会社法人等番号1800-01-〇〇〇〇〇)
       代表取締役 甲 野 太 郎

(2)会社法人等番号を提供することにより添付省略できる情報の例

ア.法人の代表者の資格を証する情報(登記事項証明書)
申請情報の添付情報欄には、「会社法人等番号」と記載します(法務省ホームページ)。

会社法人等番号の提供に代えて申請情報に作成後3か月以内の登記事項証明書を添付することもできます(不動産登記令7条1項1号,同規則36条1項2項)。この場合には、添付情報欄に「登記事項証明書」と記載します(法務省ホームページ)。

添付することができる登記事項証明書は、平成27年11月2日から令和2年3月29日までは作成後1か月以内とされていましたが、不動産登記規則の改正により令和2年3月30日からは作成後3か月以内となっています。

イ.住所証明情報(登記事項証明書)(不動産登記令9条,同規則36条4項)
住所証明情報(登記事項証明書)の添付は省略できますが、申請情報の添付情報欄には、「会社法人等番号」のほか「住所証明情報」と記載します(法務省ホームページ)。

ウ.法人の住所の変更証明情報(登記事項証明書)(不動産登記令9条,同規則36条4項)
現在の会社法人等番号の記載された登記事項証明書の添付は省略できますが、異なる番号の閉鎖事項証明書の添付は省略できません(『不動産登記令の改正に伴う添付情報の変更に関するQ&A18-2』(法務省ホームページ))。

なお、平成24年5月21日(外国会社にあっては平成27年3月2日)から管轄外本店移転登記や組織変更登記などをしても会社法人等番号は変更されない扱いとなっていますが、それ以前は新たな番号が付されておりました。

エ.法人の合併による承継を証する情報又は法人の名称(商号)変更を証する情報(登記事項証明書)(前記平成27年通達)
添付省略ができる登記事項証明書の範囲は住所の変更証明情報と同じです。

オ.登記原因についての第三者の許可等を証する情報(不動産登記令7条1項5号ハ)の当該第三者の代表者の資格を証する情報(登記事項証明書)(前記平成27年通達)

カ.会社分割による権利の移転登記を申請する場合における新設分割または吸収分割承継会社の登記事項証明書(前記平成27年通達)

キ.申請書又は委任状に押印した印鑑の印鑑証明書(不動産登記令16条2項・同規則48条1号,同登記令18条2項・同規則49条2項1号)
申請情報の添付情報欄には、「印鑑証明書(会社法人等番号1800-01-〇〇〇〇〇)」と記載するものとされています(令和2年3月30日付け法務省民二第318号法務局長通達,『登記研究869号』(テイハン,127頁))。

なお、添付を省略せずに発行後3か月以内の印鑑証明書を添付することもできます(不動産登記令16条2項3項,同18条2項3項)。この場合には、印鑑証明書に基づいて登記申請の調査を行っても差し支えないとされています(前記令和2年通達)。

ク.同意又は承諾を証する書面の作成者の印に係る印鑑証明書(不動産登記令19条2項,同規則50条2項において準用する48条1号)
申請情報における添付情報欄の記載方法については、上記キと同様です(前記令和2年通達)。

なお、省略せずに印鑑証明書を添付することもできますが、上記キと違って作成後3か月以内といった制限はありません(不動産登記令19条2項)。

3.印鑑証明書等の添付省略と実務対応

令和2年3月30日から不動産登記規則等の改正により会社法人等番号を提供することにより印鑑証明書の添付を省略できるようになっていますが、司法書士としては、委任状などに押印された印鑑が法務局に届出された印鑑であるか確認する手段が印鑑証明書以外にありません。

異なる印鑑で捺印されていた場合は登記が受理されないことになり、お客様へ損害を与えてしまうことになります。また、印鑑証明書をご用意いただくことは本人確認・意思確認の意味もございます。

登記のプロとして万が一にも間違いを起こすわけにはいきませんので、お手数をお掛けすることになりますが、印鑑証明書のご用意をお願いしています。

また、登記事項証明書は、会社法人等番号を提供することでその添付を省略ができますが、この場合法務局は、法人の商業・法人登記記録を調査します。不動産登記の受付時に登記事項証明書に係る法人の商業・法人登記が処理中であったときは、その処理の完了後に登記記録の調査が行われます(前記令和2年通達)。

不動産登記の申請時に、商業・法人登記が処理中であると不動産登記の処理が遅れるなどの影響がありますので、依頼者である法人に商業・法人登記申請をする予定があるか確認し、場合によっては、会社法人等番号の提供に代えて登記事項証明書を添付した方が良い場合もあるでしょう。

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