株式会社設立登記と代表取締役等住所非表示措置の申出

名古屋市南区の司法書士加藤芳樹です。新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

さて、商業登記規則(以下「規則」という。)の改正により昨年(令和6/2024)10月1日から施行された代表取締役等住所非表示措置の申出について、株式会社設立登記と併せて当該申出を行い無事に登記が完了しましたので、備忘録として記録しておきます。

参考になれば幸いです。

なお、代表取締役等住所非表示措置の申出については別稿で纏めていますので、こちらもご参照いただければと思います。

設立登記と併せて行う代表取締役等住所非表示措置申出の添付書面

以下の(1)から(3)の書面の添付が必要です。

(1)株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面(規則31条の3第1項第1号イ)

 以下の①又は②の書面

①申出と併せて行う登記の資格者代理人が申出に係る株式会社が本店の所在場所に実在することを確認した書面

②当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくはこれに準ずるものとして法務大臣の定めるものにより送付されたことを証する書面

(2)代表取締役等の住所等を証する書面(規則31条の3第1項第1号ロ)

(3)株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(規則31条の3第1項第1号ハ)

今回(2)の書面については、登記申請書に添付した非表示措置の申出を行う代表取締役の印鑑証明書(規則61条1項4号)を援用し、(3)の書面については、定款認証時に公証人から交付された実質的支配者の本人特定事項についての申告受理及び認証証明書を添付しました。

(1)の株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面については、①の申出と併せて行う登記の資格者代理人が申出に係る株式会社が本店の所在場所に実在することを確認した書面を添付しました。

具体的には次の通りです。

本店の実在性を確認したことを証する書面

令和6年〇月〇日

当職は、本件登記申請の代理人として、以下のとおり、申請に係る株式会社が登記上の本店所在場所に実在することを確認したことから、その旨を証明する。

〒457ー0045
住所 名古屋市南区松城町一丁目30番地の1 長谷川ビル201号
氏名 加藤 芳樹  〔職印〕

1 本店 名古屋市南区●●町●●番地
2 商号 株式会社A 
3 代表取締役等住所非表示措置の対象者
   資格:代表取締役
   住所:名古屋市北区●●町●●番地
   氏名:司法●郎
4 本店実在性の確認の日時・方法
   日時:令和6年〇月〇日
   方法:■現認   □郵送   □その他(              )
5 本店実在性の具体的確認方法

発起人兼設立時代表取締役である司法●郎氏から別添の賃貸借契約書の提示を受け、令和6年〇月〇日に本店所在場所予定地へ行き、司法●郎氏から賃貸された物件の説明を受けた。

上記の書面に発起人が契約者となっている事務所の賃貸借契約書の写しと、本店所在場所予定地の事務所内部及び外観の写真を添付しました。

令和6年7月26日付法務省民商第116号「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」によると、申出と併せて行う登記の資格者代理人が申出に係る株式会社が本店の所在場所に実在することを確認した書面とは、資格者代理人において当該株式会社の本店所在場所における実在性を確認した日時及び具体的な方法等を記載し、当該資格者代理人の職印(当該資格者代理人が法人の場合は、当該法人が登記所に提出している印鑑)を押印した書面等が該当するとあるだけで、実在性を確認する方法等は何も書かれておりません。

登記完了後に送られてきた『月報司法書士』によると「株式会社の本店所在場所の実在性の具体的確認方法は、一般的に相当である方法であれば差し支えありません。なお、本社機能の有無まで確認する必要はないとされています。」(新保さゆり「代表取締役等住所非表示措置に関するQ&A」月報司法書士No634,79頁)とのことです。

登記を申請した時点では、当該書面や調査方法についての情報が少なく、また、初めての申し出でしたので、やや過剰とも思えましたが上記のとおり調査をし書面を作成しました。

株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面は、資格者代理人が確認した書面の他に、代表取締役等住所非表示措置の申出をする株式会社が受取人として記載された書面が、その本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくはこれに準ずるものとして法務大臣の定めるものにより送付されたことを証する書面も該当します。

株式会社設立登記と併せて代表取締役等の住所非表示措置を申し出る場合においては、配達すべき株式会社が設立登記前は存在しないため、後者の書面は設立登記と併せて申出する場合には使えないようにも思えますが、可能とされています(前掲『月報司法書士』80頁)。

前記通達によると当該書面は、配達証明書と併せて当該株式会社の商号及び本店所在場所が送付先として記載された郵便物受領証の添付を要し、当該配達証明書及び郵便物受領証に記載された当該株式会社の商号又は本店所在場所が登記記録と合致していることが必要です。

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