相続登記の必要書類 遺産分割調停又は審判の場合
皆さん、こんにちは、名古屋市南区の司法書士加藤芳樹です。
相続登記がまだ済んでいない被相続人(故人)名義の不動産の相続登記を行う場合において、遺産分割調停調書又は審判書がある場合には相続登記の必要書類のうち、戸籍(除籍,原戸籍)謄本の添付が不要になります。
一部実務経験に基づく私見を交え本稿において解説してみました。参考になれば幸いに存じます。
遺産分割調停調書又は審判書がある場合の相続登記の必要書類
遺産分割調停調書の場合
- 遺産分割調停調書謄本又は正本
- 相続をする人(登記名義を付ける人)の住民票
- 課税明細書又は評価証明書若しくは評価通知書
- 調停調書の記載から被相続人が登記簿上の所有者であることが明らかでないときは、住民票(本籍付)の除票など
- 調停調書に被相続人の死亡日の記載がない場合には、被相続人の死亡日の記載のある除籍謄本等
遺産分割審判書の場合
- 遺産分割審判書正本
- 確定証明書
- 以下は上記と同様
解説
遺産分割調停調書や遺産分割審判書を添付しない通常の相続登記においては、相続人の範囲を確認するために被相続人の出生から死亡時までの一連の戸籍(除籍・原戸籍)謄本などと、相続人が相続開始時に生存(又は胎児であったこと)していることを証するために、相続人の現在戸籍(謄本又は抄本)の添付が必要となります。
しかし、遺産分割調停や審判においては、被相続人の相続関係は戸籍謄本等により家庭裁判所において審査されていますので、調停調書または審判書を添付する場合には、前述の戸籍(除籍・原戸籍)謄本の添付は不要となります(昭和37年5月31日民甲1489号)。
ただし、遺産分割調停調書又は審判書に被相続人の死亡年月日の記載がない場合には、被相続人の死亡日の記載のある除籍謄本等が必要となります。
また、相続人が他の共同相続人に自己の相続分全部を譲渡している場合には、相続分の譲渡を証する書面(印鑑証明書付き)の添付が必要となりますが(昭和59年10月15日民三5195民事局第三課長回答)、調停調書又は審判書に相続分を全部譲渡した旨の記載があるときは、これらの書面も添付不要となります。
では、調停調書又は審判書上の被相続人の最後の住所と、登記簿上の住所が異なるときはどうでしょうか。
この場合は、原則として登記簿上の住所と最後の住所との繋がりが分かる住民票の除票の写し又は戸籍の附票の写しあるいは権利証などの被相続人と登記簿上の所有者との同一性を証する書面の添付が必要となります。
また、調停調書又は審判書の被相続人の氏名と登記簿上の氏名が異なるときも、原則として被相続人と登記簿上の所有者との同一性を証する書面として戸籍謄本等を添付する必要があります。
ただし、登記簿上の住所と調停調書又は審判書上に記載されている本籍が一致している場合には、被相続人と登記簿上の所有者との同一性は認定できます(『登記研究831号』(テイハン)136頁)ので、被相続人と登記簿上の所有者との同一性を証するための書面を別途添付する必要はないと思われます。
さらに、調停調書又は審判書に登記簿上の住所や氏名が併記されている場合も同一性は認定できますので、被相続人と登記簿上の所有者との同一性を証する書面を別途添付する必要はないと思われます。
私の経験上これらの場合は、被相続人と登記簿上の所有者との同一性を証する書面を別途添付することなく登記は受理されています。
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